TSKaigi 2024 に参加した

2024 年 5 月 11 日に中野セントラルパークで開催された TypeScript の国内カンファレンス TSKaigi 2024 に参加してきた。
興奮冷めやらぬ中、参加したセッションの感想をざっくりとメモしていく。

Keynote: What's New in TypeScript

https://tskaigi.org/talks/drosenwasser

TypeScript Principal Product Manager のダニエルさんの Keynote は TypeScript 5.3 -> 5.5 の新機能に関すること。

NoInfer による型推論の抑制、@type-check を使った js ファイルの型チェック機能の強化、正規表現の型チェックの強化、関数内の型推論の強化というのがメインだった。
Array.prototype.filter の返り値で型がちゃんと絞れるようになったのは個人的には非常に嬉しい部分だった。

フロントエンドもバックエンドもインフラも… 全てを TypeScript で統一したらこうなった!

https://tskaigi.org/talks/kimi_koma1111

https://speakerdeck.com/kimitashoichi/11-dang-ri-suraido

Layered Architecture や、その依存関係の管理についてのアーキテクチャの説明がわかりやすかった。
フロントエンド、バックエンドを all in TypeScript で管理しているからこそ、フロントエンドとバックエンドでフルスタックになれるという話だった。
all in TypeScript だったからこそバックエンドに挑戦できたという成功体験や、チーム内で得意領域のち知見共有が可能になっているという事例は TSKaigi にマッチしていた。

エンジニアの技術的な意思決定を支える ADR - LayerX の活用事例

https://tskaigi.org/talks/Toshi1127

https://speakerdeck.com/toshi1127/20240511-tskaigi-2024-suponsasetusiyon-layerx-song-ben-jun

ADR でドキュメントを残す文化に関するお話。
自分の業務でもドキュメンテーション管理についての方向性を悩んでいたので話をきいたが、LT の内容だけでは情報が足りなかったので最後のセッション時間で LayerX さんのブースで ADR や Design Docs の活用事例についての話を聞かせてもらって勉強になった。

高まった熱量をぶつけられるコミュニティ活動のススメ

https://tskaigi.org/talks/r_kawamata

コミュニティ活動は最高に面白いというお話。
Timee さんのブースのビッグタイミンぬいぐるみが #TSKaigi の X の TL を席巻していたのでコミュニティへのコミットのアプローチが非常にうまいと感じた。

こんな Typescript は嫌だ

https://tskaigi.org/talks/takuuuuuuu777

表題通りのネタで TypeScript のネタをひっきりなしに話してくれていた。
その「嫌だ」という TypeScript が JavaScript であるというのは皮肉が効いていてよかった。

チームで挑む TypeScript コードの漸進的改善

https://tskaigi.org/talks/YTakahashii

https://speakerdeck.com/medley/progressive-improvement-of-typescript-code

typescript-eslint のルールをチームで見直す時間を週次で確保しているのは良い文化だと思った。
追加したルールは warn ではなく error として適応するというのは、絶対にチームの合意を取ってコードを改善するという気持ちが現れていて非常によい。

Ubie のプロダクト開発における技術的レバレッジポイント 3 選

https://tskaigi.org/talks/yoheikikuta

Patient Journey をベースに、Ubie さんが何を実現しようとしているのか勢いのある LT を展開していた。

toggle holdings と TS あるいは TSKaigi

https://tskaigi.org/talks/myfinder

「フロントエンドもバックエンドもインフラも… 全てを TypeScript で統一したらこうなった!」と同じくトグルホールディングスさんの事例。
フロントエンドとバックエンドを TypeScript で統一してモノレポ開発できているのは非常に興味深かった。

TypeScript 関数型バックエンド開発のリアル

https://tskaigi.org/talks/naoya_ito

https://speakerdeck.com/naoya/typescript-guan-shu-xing-sutairudebatukuendokai-fa-noriaru

オブジェクト指向プログラミングと関数型プログラミングの説明がシンプルでわかりやすかった。
アーキテクチャをコードベースで説明してくれていて納得感もあった。

複雑なビジネスルールに挑む:正確性と効率性を両立する fp-ts のチーム活用術

https://tskaigi.org/talks/kosui_me

https://speakerdeck.com/kakehashi/strike-a-balance-between-correctness-and-efficiency-with-fp-ts

エクセル入稿のエラーハンドリングにフォーカスしたお話。
前段の「TypeScript 関数型バックエンド開発のリアル」のあとに聞いたので、こういうのは Result 型で解決できたりするのかなあと考えながら聞いていた。

tRPC を実務に導入して分かった旨味と苦味

https://tskaigi.org/talks/misoton665

https://speakerdeck.com/misoton665/trpcwoshi-wu-nidao-ru-sitefen-katutazhi-wei-toku-wei

tRPC は興味があったので、辛みを聞けたのはよかった。

サービス開発における Vue3 と TypeScript の親和性について

https://tskaigi.org/talks/karan_corons

https://speakerdeck.com/tsukuha/sabisukai-fa-niokeruvue3totypescriptnoqin-he-xing-nituite

Vue 2 から Vue 3 になったときに Vue が如何に TypeScript で使いやすくなったのかというお話。
Vue 3 がコミュニティによって TypeScript フレンドリーになっている様子が丁寧に説明されていてよかった。

TypeScript と GraphQL で実現する型安全な API 実装

https://tskaigi.org/talks/hokaccha

https://speakerdeck.com/hokaccha/tskaigi-2024

GraphQL は業務で使ったことがないので、その落とし穴的な話がたくさん聞けてよかった。

Prettier の未来を考える

https://tskaigi.org/talks/__sosukeSuzuki

https://zenn.dev/sosukesuzuki/articles/756e04848885bd

Biome というライバルが現れたことで Prettier の本当の価値は何かという振り返りのお話。
フォーマッターは Prettier 一強だったから CLI のパフォーマンスチューニングを怠っていたという話がよかった。ライバルは大事。

懇親会

TypeScript Principal Product Manager のダニエルさんにサインをもらったり、Array.prototype.fileter のアップデートめっちゃ便利です的な話ができたのがよかった。